いけちゃんの悪戯

日々のことをツラツラと綴るブログ

2019年上半期に読んで印象に残った本ベスト5

2019年もあっという間に半年が過ぎてしまいました。最近はなかなか本を読み進めることができていないのだけど、区切りが良いのでとりあえず上半期に読んで印象に残った本をまとめてみる。今年は小説だけでなく、エッセイをたくさん読み始めた年なので例年よりも本棚に収まる本のジャンルもバラエティ豊かになった。とはいえ、印象に残るものもあれば、今の自分にはピンと来なかったものもあったわけだが選書の幅が広がることは、自分の見ている世界の幅が広がることとリンクしていると思うので結果として大満足です。それでは、いってみよう!

5位 ブッツァーティ『神を見た犬』

まず5位はイタリアの鬼才ディーノ・ブッツァーティのこの本。僕はカフカの作品が好きなのだけど、それと世界観の似たブッツァーティの作品群ももちろん相性がよかったです。『神を見た犬』は全22編からなる短編集だ。個人的には、「コロンブレ」「七階」「呪われた背広」あたりが特に印象に残っている。彼の作品の魅力は、舞台である日常生活に、現実世界ではありえない動物や慣習などが描かれているところだ。ちなみに「呪われた背広」は、ある男が手に入れた背広のポケットから無限にお金が出続けるという話。ゆえにブッツァーティは幻想文学の名手と呼ばているのだけど、彼の作品は今年中にもっと読んでおきたい。『魔法にかかった男』とか『現代の地獄への旅』とか僕の心の琴線を震わせるタイトルが近年出版されているので、ひと通り読んでみて感想を書きたいな。

 

神を見た犬 (光文社古典新訳文庫)

神を見た犬 (光文社古典新訳文庫)

 

4位 高野秀行『辺境メシ ヤバそうだから食べてみた』

昨年から気になっていた辺境作家高野秀行さんの著作。2019年は高野本をかなりハイペースで読み進めていたのだがもっとも印象に残ったのはこちらの本。僕が初めて買った高野さんの著作でもあるわけで少なからず思い入れがあるわけなんだけど、世の中の広さや自分の周りにある情報について考えるきっかけになったのは、この本のおかげです。今はウェブネットワークが発達して、なんでも欲しい情報が調べられる時代だ。が、果たして僕たちは本当に欲しい情報を求めていたとおりに手に入れることができているのだろうか。ネットで検索して出てきたものがこの世の全てなのかというと、答えはNOである。ただあまりにも簡単に「それっぽい答え」が拾えてしまうため、何かを知った気になることが増えていきつつあるように感じる。高野さんはネット上と現地の現実に横たわる大きな断絶を文字通り体を張って踏破してみせる。そこが本当にかっこいいんですよね。

 

辺境メシ ヤバそうだから食べてみた

辺境メシ ヤバそうだから食べてみた

 

3位 セネカ『生の短さについて』

生きることにとっての最大の障害は、明日という時に依存し、今日という時を無にする期待である。君は運命の手中にあるものをあれこれ計画し、自分の手中にあるものを喪失している。君はどこを見つめているのか。どこを目指そうというのであろう。来るべき未来のものは不確実さの中にある。ただちに生きよ。 

とにかく刺さる文章をたくさん書いていたのは、セネカでした。中でも上記の引用部分は個人的に大きな勇気をもらった。未来に期待すること自体は悪いことではないが、結局は今この場で動き出すことしか始まらないし、進まない。同時に未来に絶望することもナンセンスだ。生きるということは「できること」をひたすら続けていくことと同じなのではないだろうか。

 

生の短さについて 他2篇 (岩波文庫)

生の短さについて 他2篇 (岩波文庫)

 

2位 竹内万里子『沈黙とイメージ - 写真をめぐるエッセイ』

ひとまず今年手に取った書籍の中で抜群に美しかったのは、写真評論家の竹内万里子さんのこの本。洗練されたシンプルでスタイリッシュな装丁もさながら、竹内さん自身の綴る文章がなんとも詩的で美しいのです。詳しい感想は下記のエントリにも書いているのだけど、ちょうどカンボジア旅行から戻って、キリングフィールドとかトゥールスレン収容所の歴史を整理したかった頃に、この本に出会えたことはかけがえのない僥倖でした。 

www.chan1ke.com

 

沈黙とイメージ -写真をめぐるエッセイ-

沈黙とイメージ -写真をめぐるエッセイ-

 

1位 カート・ヴォネガット・ジュニア『タイタンの妖女』

この半年間で不動の一位を突っ走っていたのはこの一冊。この物語は自分の運命に1ミリも逆らえない男の話なんだけど、それってよくよく考えてみると当たり前というか、人生は一度きりで過去を変えたりやり直しができなくて、実はあらかじめ全てが決められているのではないかと考えたりしてしまう。そして人生において楽しいことと悲しいことのどっちが多いのかと考えてみると、残酷なことに悲しみの方が人生において大きなウェイトを占めているのではないか。もちろん、「ツライことなんかないよ!毎日ハッピーだよ!」と言えたら最高なのだけど、残念ながら原則的にそんな人生は不可能である。誰だって嫌なことがある時はあるし、思い通りに物事が進まなくてイライラしたりするだろう。でも、だからこそこの世界は美しいのだ。美しいと思える瞬間に溢れているのだ。この世の美しさは悲しみの中にあるのである。

 

タイタンの妖女 (ハヤカワ文庫SF)

タイタンの妖女 (ハヤカワ文庫SF)

  • 作者: カート・ヴォネガット・ジュニア,和田誠,浅倉久志
  • 出版社/メーカー: 早川書房
  • 発売日: 2009/02/25
  • メディア: 文庫
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まとめ:読書っていいよね。

こんな風に2019年上半期に読んで印象に残った本を5冊、ランキング形式で振り返ってみましたが改めて読書っていいですね。そして、それぞれの本について考えたことを自分の言葉にする作業も同じくらい尊いことだなと。

残念ながら、最近はあまり読書が捗っていないのですが今回のエントリを書いて再び読書欲が湧き上がってきたので、2019年下半期も良い読書体験ができることを祈って、ボチボチと本を読んでいこうと思います。